雪印メグミルク株式会社の企業分析

こんにちは!
今回は雪印メグミルク株式会社の企業分析を行っていきます。

乳製品を扱っている大手企業で、「さけるチーズ」なんかは皆さんもよく目にしたことがあるのではないでしょうか。
食品会社ですが、今回は食品×健康をテーマに分析していきたいと考えています。
では雪印メグミルク株式会社をマーケティング視点から分析していきましょう。

企業概要

項目内容
会社名雪印メグミルク株式会社
業界牛乳、乳製品及び食品の製造・販売等
代表取締役佐藤雅俊
ビジョン・理念消費者重視経営の実践
酪農生産への貢献
乳(ミルク)にこだわる
売上/営業利益売上高:6054億円、営業利益:184億円
(2023 連結)
従業員数連結:5,731名

市場環境分析(PEST分析)

要素内容
Politics(政治)健康寿命を延ばすことで高齢者の医療費負担が減少するよう、国も「健康商品市場」への助成を検討中。
Economy(経済)フードテック市場が急成長しており、2020年時点で24兆円だったフードテックの世界市場規模は、2050年にはその12倍の約280兆円まで成長する可能性がある。
Society(社会)「医療と食品」の境界が薄れ、医薬品のような健康改善効果が期待できる食品の人気が高まる。特に高齢者層への認知と浸透がポイント。
「医療と食品」の境界が薄れ、医薬品のような健康支援効果が求められる傾向が拡大。
Technology(技術)乳酸菌や発酵技術に加え、腸内環境データや個人の健康データを組み合わせた「エビデンスベースド」の商品開発が主流になる可能性。
メンタルヘルス市場にも接続する「乳酸菌×脳腸相関」をテーマに、新しい市場を開拓する準備ができている。

政府の支援や社会の健康志向の中で、医療費削減と健康維持に寄与する食品を提供することで、新しい社会貢献と市場形成を同時に進められます。


5Forces分析:業界構造の理解

要素内容
売り手医療業界・データヘルスケア企業
新規参入健康食品・サプリ業界からの新規参入が増加。
医療データ連携食品市場は未開拓
直接競合明治や森永乳業など、大手乳業会社が直接競合。
乳製品企業にとどまらず、製薬企業も参入の可能性。
代替品健康食品や機能性飲料が代替品として急成長している。
買い手医療データに価値を置く消費者
健康意識が強い中高年層

雪印メグミルクは、乳製品市場に限定せず、「医療×食品」という交差分野の先駆者としてポジションを築ける可能性があります。


3C分析:戦略の基本方針

要素内容
Customer中高年層の「病気予防食品」を求める層と、ストレス軽減を求める若年層に着目し、「ヘルス・ケア」をキーワードに展開する。
Company乳酸菌に特化した研究から「メンタルケア」「腸内フローラ改善」を一貫して提供できる競合の少ない市場に進出。
Competitor従来の食品企業ではなく、ヘルスケアに強みを持つ企業や製薬会社などを新たな競合と想定。

顧客層を拡大するだけでなく、製薬業界と提携し「予防×健康食品」の新しいポジションを確立する戦略が考えられます。


STP分析:マーケティング基本戦略

要素内容
Segmentationヘルスケア志向の消費者
Targeting予防医療に関心のある層
Persona「健康寿命を延ばしたい」「日常生活に取り入れやすい予防食品を求める」意識の高い50代後半の男性、特に高血圧や糖尿病を気にしている。
Positioning医療機関と連携した信頼できる健康食品としてのポジション。特に生活習慣病予防や腸内環境改善を支援。

健康管理のために「医師推薦」「科学的証明」に重きを置く層をターゲットに設定すると、従来の乳製品と差別化が図れます。


マーケティングミックス(4P分析)

要素内容
Product医療エビデンスに基づいた健康食品を開発。特に腸内環境改善や生活習慣病予防効果を前面に。
Price高品質な商品でプレミアム価格設定。ヘルスケア市場の顧客ニーズを反映した適正価格で提供。
Place通販・スーパーだけでなく、病院や薬局でも提供し、消費者のアクセスしやすい流通を構築。
Promotion医師の推薦や科学的エビデンスに基づいた広告を展開し、消費者の信頼と安全性をアピール。

信頼性が重視される医療機関や薬局での流通が、新たな顧客層を獲得するカギとなります。


成功要因の言語化(3つのポイント)

ポイント内容
①医療との連携強化医師と協力した開発体制を構築し、健康志向の消費者層にアプローチ。
②「健康寿命」延伸を目標とした製品開発乳酸菌の機能を活かした疾病予防やメンタルケア商品を提供。
③医療費削減への貢献社会的課題である医療費削減に貢献しつつ、エビデンス重視の新たな市場を創造。

従来の食品市場から一歩進み、「健康維持支援」という新たな役割を担う企業としての成功要因が見えてきます。


収益ドライバー

指標レベル内容
最重要指標 (KGI)医療機関提携製品の市場シェア拡大(特に高齢者層の購買増加)
中間指標 (KPI)医師推奨製品の販売増加、新規製品数、ヘルスケアパートナーシップ数
さらに分解した指標消費者信頼度、医療機関での取り扱い件数、製品ごとの満足度調査スコア
コメント社会貢献の視点を収益ドライバーに組み込むことで、長期的な成長の基盤を強化します。

もし自分がCMOだったら?

項目内容
打ち手は?医療業界と提携したデータ連携や、医師推奨の製品開発を進め、健康意識層への訴求を強化する。
競合と比較したときの差別化ポイントは何?学的根拠に基づいた医師監修製品という信頼性の高いポジション。
ターゲットは誰で、その人のどんな課題を解決するのか?健康寿命を延ばし、病気予防をしたいと考える中高年層を対象に、日常生活に取り入れやすい予防食品を提供。
マーケティングミックスで工夫する点は何か?医療機関との協力や信頼できるエビデンスの提供を軸にし、病院や薬局への流通を拡大する。
収益インパクトはどれくらい出せそうか?健康意識層からのリピート顧客の増加で、健康食品市場における年間売上の10%増加を見込む。

「医療連携」を武器に、消費者の信頼を得つつ市場シェア拡大が目指せます。


ここまでがいつものフレームワークを活用した分析でした。
食品×健康といった視点から分析というか今後の戦略に近いでしょうか。
収益インパクトの項目、健康食品市場における年間売上の10%増加といった部分についてもう少し踏み込んで考えていきます。

数字の根拠

  1. ヘルスケア市場の成長: 健康志向が進む日本では、健康食品市場全体が年々1.5%の成長率を示しています。この中で、雪印メグミルクが医療との提携や「科学的根拠に基づく健康食品」分野で他社に先行することで、新規顧客獲得やリピート購買を増やす余地があります。特に、メンタルケアや腸内環境改善など、乳酸菌を活かした差別化商品を提供することで、5~7%の増収が見込まれます。
  2. 消費者の健康志向の高まり: 特に40代以上の健康意識層を中心に、エビデンスに基づいた食品の需要が拡大しています。医療との連携による信頼性のある商品提供は、顧客単価や購入頻度の向上に直結すると考えられ、これがプラス2%の成長要因になると予測しています。
  3. 流通チャネルの拡大: 新たに医療機関や薬局への流通を強化することで、既存の乳製品流通とは異なる新規顧客層へのアクセスが可能です。この戦略による流通拡大によって、さらに2%の成長が期待できるとしています。

段階的なシナリオと達成見込み

10%の売上増加は一足飛びに達成できる数字ではないため、3年から5年を目安に、段階的に達成する計画が現実的です。

  1. 第1段階(1〜2年目): 健康食品市場向けに新商品をリリースし、医療機関や薬局への流通を開始。信頼性の高いエビデンスを用いて販促活動を展開し、1.5〜3%の売上増加を目指します。この期間に基礎的なブランド認知を強化。
  2. 第2段階(3年目): 販売チャネル拡大による流通量の増加と、製品ラインナップの強化により、さらに4〜6%の増加を図ります。ここではターゲット層の広がりと新たなリピート顧客の獲得が目標です。
  3. 第3段階(4〜5年目): 健康意識層における雪印メグミルクのポジションを確立し、医療機関とのデータ連携も進展。収益の10%増加目標の達成を視野に入れます。

実現可能性について

5年間で段階的に売上を10%増加させるという目標は、医療や薬局との連携が計画通りに進むこと、また信頼性のあるエビデンスによって消費者の健康食品市場における雪印メグミルクのポジションが定着することが前提です。この戦略は、他社との差別化が進むため、中長期的には実現可能と考えられますが、次のような課題が伴います。

  • 課題1:医療機関との連携速度
    医療機関での流通や医師の推奨を得るには、信頼関係構築や長期的な検証が求められるため、想定以上に時間がかかる可能性があります。
  • 課題2:競合の追随
    雪印メグミルクが先行する形で医療市場への参入を進めた場合、他社の追随や市場競争が激化するリスクがあるため、定期的なマーケティング戦略の見直しが必要です。
  • 課題3:消費者への啓蒙活動
    健康食品の効果を正しく理解してもらうための啓蒙活動が必要です。長期的な利益を確保するため、消費者教育にも投資する必要があるでしょう。

10%増加の目標は5年を目安に段階的に実現する計画であり、慎重な戦略と柔軟な対応が求められます。この目標を達成するために、医療機関との提携による信頼性の強化、新しい流通チャネルの開拓、消費者教育への投資が重要です。

以上が分析内容です。
就活生や転職希望の方のお役に立てれば幸いです。
今後分析してほしい企業がありましたらコメントまでお待ちしてます!

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